プログラミング入門

プログラミング初心者のためのScratch(スクラッチ)入門-基礎の基礎編(6)リミックスのこと

子ども向けプログラミングといえば「Scratch(スクラッチ)」。NHKの子ども向けプログラミング講座でも使われている有名な教材です。Scratchは無料で使うことができ、発想次第でゲームやアニメーション、アートなどいろいろな作品を自由に作ることができるため世界中で使われています。ほとんどのプログラミング教室でも採用しているため、ご存知の方も多いはず。

今回はScratchってどう使うの?という完全初心者の方に向けて基礎の基礎編の6回目。知っておきたいScratch(スクラッチ)の共有とリミックスのことについて解説します。
 

1.Scratch(スクラッチ)の2種類のエディター

Scratchのエディターについて解説します。あれ?エディターって前に「ペイントエディター」とか「サウンドエディター」とかやったけど、それのこと?と思った人もいるかもしれませんね。今回はそちらのエディターではなくて、「Scratch全体」のエディターのことをご紹介します。
 

1-1. リミックスの前に知っておきたい2種類のエディター

プログラミング初心者のためのScratch(スクラッチ)入門-基礎の基礎編(1)でも簡単に触れましたが、Scratchでプログラミングするツールのことをエディターと呼びます。そしてエディターにはオンラインとオフラインの2種類が存在します。

 
(1)オンラインエディター
オンラインエディターは、ブラウザからアクセスして使うインターネット上のエディターです。以下のサイトにアクセスし、「作る」メニューをクリックするとオンラインエディターが開きます。

https://scratch.mit.edu/

作品を保存しておくためには、Scratchサイトのアカウントが必要です。アカウントの取得にはメールアドレスが必要となります。また、保存した作品は「共有」と「共有しない」を選ぶことができます。

最初に作品をつくると「共有しない」の状態になっています。「共有しない」の作品は他の人は見ることができません。「共有」にすると他の人(Scratchアカウントを持っていない人でも)が作品を見ることができます。

 
(2)Scratchオフラインエディター
Scratchオフラインエディターは、専用ソフト(Scratchオフラインエディター)をパソコンにインストールして使います。インストール方法についてはプログラミング初心者のためのScratch(スクラッチ)入門-基礎の基礎編(1)でご紹介していますのでそちらも合わせて確認してみてください。

インストールしてしまえば、インターネットに繋がなくてもパソコンの中だけでScratchの作品を作ることができます。また作った作品はファイルとして保存されます。
オフラインエディターだけしか使用しない場合には、Scratchサイトのアカウント作成は不要です。

2種類のエディターを比較

 

1-2. 2種類のエディターを両方つかう

オンラインエディターだけ、オフラインエディターだけ、と片方のエディターを使うだけでも自由に作品を作れます。
ですが、場合によっては両方を使い分けながら一つの作品を作って共有するということも。

・オンラインで作った作品をダウンロード→オフラインで編集
・オフラインで作った作品をアップロード→オンラインで共有

例えば、どんなシチュエーションでこんな使い方をするかというと
普段はオンラインエディターで作品を作っている子が、お盆や夏休みの帰省のときは製作中の作品をダウンロードし、帰省先ではインターネットにつながないで続きを作る、とか。おじいちゃん、おばあちゃんのおうちにインターネットがない時なんかは便利ですね。

あるいは、まだまだ判断力が心配なお子さんなら、普段はオフラインエディターで制作し、共有したい時だけ保護者と一緒に内容を確認の上、オンラインでアップロードする。なんて使い方もできるかもしれません。

いずれにせよ、オンラインで作り始めちゃったらずっとオンラインしか使えない、ということはありませんので状況によってはエディターを変えることもできるということも知っておくと便利かなと思います。
 

2. Scratch(スクラッチ)のリミックスについて

Scratchにはリミックス機能が付いている、というところが面白いところ。日本の教育的(?)には「マネはダメ」って言われることがあり、ちょっと躊躇してしまう感じがあります。しかし、リミックスすることもプログラミングの面白さの一つなので、オリジナル作品に敬意を払ってチャレンジしてみてもいいですね。

 

2-1. Scratch(スクラッチ)のリミックスって何?

ご存知の通りリミックスは、既存の音楽をアレンジしたりしてある曲の別バージョンを作ることです。Scratch(スクラッチ)においても、元の作品をアレンジして別の作品を作ることをかっこよく「リミックス」と言っているんですね。

ブラウザ版で他の人の作品を開いてコードを表示すると、コードの上の部分に「リミックス」というボタンが表示されているので、そのボタンを押すことでリミックスができます。

 

2-2. リミックスって盗作と違うの?

リミックスは盗作とは違います。盗作は、本人の許可なく勝手にコピーすることです。
リミックスに関しては以下のルールがありますのでそのルールを守りましょう。

Scratchで見つけたプロジェクトやアイディア、画像などすべてのものは、自由にリミックスできます。同様に、あなたがシェアしたものも、誰でも自由に使うことができます。リミックスするときは、必ずクレジット(元の作者名)を「作品への貢献」として記載してください。
引用元:Scratchコミュニティガイドライン

Scratchの作品を「共有」するということは、自由にリミックスしていいことを許可していることになります。ですから、リミックスされたくない作品は「共有」してはいけませんよ。

 

3. Scratch作品の「共有」「リミックス」は危険?!

ここからは作品の「共有」や「リミックス」をするときの注意事項をまとめました。ぜひ親子で話し合って理解してほしいことの一つです。

 

3-1.「フリー素材なら使っていい」は間違い

Scratchでは画像や音楽を素材としてアップロードして使うことができます。自分で作った画像や音楽なら問題ありません。しかし、他の人が作った素材を使うのは注意が必要です。

著作権について詳しく知らなくても、他の人の画像や音楽を勝手に使うのはダメだ、ということは多くの人がご存知だと思います。しかしそれだけではなりません。「フリー素材」の利用にも注意が必要です。

「フリー素材」(自由に使っていい素材)は、多くの場合「再配布」を禁止しています。

もし、Scratchでフリー素材を使った作品を「共有」したらどうなるでしょう。Scratchでは、作品を共有するとリミックスを許可したことになります。つまり、その作品内のフリー素材を「再配布」していることになってしまいます。ですから、フリー素材であっても、うっかり共有しないように管理しておくことが必要です。

子供が間違って共有してしまう・・・ということも考えられますから、Scratch内ではできるだけ使わない方がいいのではないでしょうか。

フリー素材利用時の注意
・再配布を禁止しているか確認する
・再配布禁止の素材なら、共有するのはNG
・再配布禁止の素材をどうしても使いたいなら、オフラインエディターで使用する、共有しないなどしてしっかり管理する
・管理が面倒なら、再配布禁止の素材は使わない

 

3-2. 個人情報に気をつけよう

個人情報の取り扱いについても十分に気をつけたいところです。Scratchでは写真を素材として使うことができますから、自分の写真や友達の写真をスプライトで使用したり、ということも可能です。子供が自分の顔写真や住所、電話番号などを作品内で使ってしまったら、ちょっと怖いですね。

またScratchサイトのアカウントを持っている場合には、他の人の作品にコメントを残したり、ディスカッションフォーラム(掲示板)に質問やコメントを書き込みできます。

子供がオンラインエディターを使用する場合には次のような約束をしておきたいところです。

作品作り・コメント書き込み時の際の注意
・自分や友達の顔が写っている写真を使わない
・住所、電話番号、誕生日、年齢、性別などを作品内に書き込まない
・知らない人と会う約束をしない
・困ったり怖い思いをしたら必ず保護者に相談する

 

3-3. 世界にはいろいろな人がいる

Scratchの作品を「共有」すると世界中の人から見えるんだ、ということを子供たちと一緒に理解しておきたいですね。人種・民族・能力・宗教・性的指向などいろいろな違いがある人がいる、ということを伝えましょう。

Scratchコミュニティーガイドラインを子供と一緒によく読み
 ・人種って何?
 ・民族って何?
 ・宗教って何?
ということについて時間をかけてじっくり理解していけると素敵なプログラマーに成長してくれることと思います。

▼Scratchコミュニティーガイドライン
https://scratch.mit.edu/community_guidelines

 

4. Scratch(スクラッチ)入門-基礎の基礎編リミックスのこと まとめ

オンラインエディターを子供たちに使わせる時には、年齢にもよりますが以下のようなルールを子供たちに伝え、子供達と話し合った上でルールを設定しておきたいですね。

子供たちに伝えたいこと
・Scratchコミュニティーガイドラインをよく読んで理解しよう
・フリー素材に気をつけよう
・不用意なコメントの書き込みに注意しよう
・心配なこと、怖いことがあったら、必ず先生や保護者に相談しよう

考えておきたいルールの例
□作品を勝手に共有しない あるいは 共有前に保護者がチェックする
□自分や友達の個人情報(写真、住所、電話番号、年齢、性別)を作品の中に入れないこと
□WEB上の素材(画像、音楽)などを勝手にScratchの作品に使わないこと

 

筆者が経験した人種差別的な書き込み

プログラミングを覚えると、子供達は自由に自分の内面をプログラム上に表現していきます。残念なことに、まれにイジメにつながる内容や人種差別につながる内容を作ってしまう子供達もいます。(もちろんごくわずかですが)

筆者は以前、ある少年が人種差別的発言をプログラミングした場面に遭遇したことがあります。おそらく悪意があってやったわけではなく、面白半分でやってしまったのだと思います。

この時はその場だけの話ですみましたが、インターネットに公開されてしまうと問題が大きくなる可能性もあります。大人がどのようなリスクがあるかを事前に把握し、多くの子供達に大切なことを伝えていってほしいと願っています。

伴野悠佳 / YUKA TOMONO
この記事の著者伴野悠佳 / YUKA TOMONO
キッズプログラミング講師。東京理科大学大学院卒。元SE。小学生の頃から教育書を読んでいた教育ヲタク。大学では、電池の素材の性質について実験とコンピューターシミュレーションを比較する研究を行っていたことがきっかけでSEになる。出産&育休後、子ども向けプログラミング教室講師(現職)に。