AI時代の子育て奮闘記子どもプログラミング

プログラミング教育の誤解ー2020年小学校プログラミング教育必修化を読み解く#2

2018年ももうすぐ終わり・・・いよいよ2020年まであと1年ほど。
2020年はオリンピックよりももっともっと重要な教育改革元年!
 
このサイトでも、2020年の教育改革に盛り込まれた「プログラミング教育」について、文科省の資料および未来の学びコンソーシアムのサイトの情報をまとめてわかりやすく解説していこうと思いま・・・・す(←ちょっと弱気)。
 

シリーズ

 
本日のテーマは「プログラミング教育の誤解」です。
プログラミング教育のよくある次の3つの誤解について今回は解説します。
 
・コンピューターを使わなくてもいい
・プログラミング教育ではタイピングをする
・プログラミング言語を覚えるのがプログラミング教育
 

誤解その1:コンピュータを使わなくていい

まず一つ目の誤解が「コンピューターを使わなくてもいい」について。
少し前までは、コンピューターを使わなくてもプログラミング学習ができる「アンプラグド」なプログラミング教育をやればいいのではないか・・・という提案もよく目にしたり聞いたりしました。
コンピュータを使わない情報教育アンプラグドコンピュータサイエンス
 
コンピュータが苦手な先生には朗報だったはずです。
しかし、残念なことに学習指導要領ではコンピューターに触れることを推奨しています。
 

各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。
・児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
・児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
ー新学習指導要領(総則第3の1より)

 

コンピュータを用いずに行う指導の考え方
コンピュータを用いずに行う「プログラミング的思考」を育成する指導に ついては、これまでに実践されてきた学習活動の中にも、例えば低学年の児童を対象にした活動などで見いだすことができます。ただし、学習指導要領 では児童がプログラミングを体験することを求めており、プログラミング教育全体において児童がコンピュータをほとんど用いないということは望ましくないことに留意する必要があります。
コンピュータを用いずに「プログラミング的思考」を育成する指導を行う場合には、児童の発達の段階を考慮しながらカリキュラム・マネジメントを行うことで児童がコンピュータを活用 しながら行う学習と適切に関連させて実施するなどの工夫が望まれます。
ー小学校プログラミング教育の手引(第二版)第2章より

 
アンプラグドな授業はあくまで低学年向け、初心者向けということだそう。
アンプラグドで・・・と考えていた先生には少し残念な結果に。
 
また、ボードゲームなどでプログラミング思考を鍛えられるという方(もしくはボードゲームメーカー)もいらっしゃいますが、私はそこは甚だ疑問です。
思考力を鍛えるという意味でボードゲームそのものは大変素晴らしいのですが・・・残念なことにプログラミングをテーマにしたボードゲームはつまらないものが多い。
あえて、ボードゲームとプログラミングを関連づける必要性が理解できません。普通にボードゲームとして楽しめばいいと思いますし、プログラミングはパソコン・タブレットでやればいいと思います。
 

誤解その2:プログラミング教育ではタイピングをする

プログラミングといえば、プログラマーがカタカタキーボードを鳴らしてやるもの、というイメージが先行しているせいか、「小学生がタイピングをする」と思っている方も中にはいらっしゃるようです。
 
未来の学びコンソーシアムのホームページではScratchやViscuitなどのビジュアル言語(ブロックや絵でプログラムを作るもの)が紹介されており、小学校段階ではそこまでタイピングを要求されることはないものと思われます。
 
▼ビジュアル言語Scratch

しかし、キーボードによる文字入力について言及がないわけではなく、以下のような記述も見られます。

キーボードによる文字入力やファイル操作等 の情報機器の基本的な操作技能と同様に、後の学習活動を円滑に進めるため の学習活動として、学校の判断により計画的に取り組むことが考えられます。
ー小学校プログラミング教育の手引(第二版)第3章より

 
つまり、学校の判断によってはキーボード入力にチャレンジする可能性も0ではありません。
また、前述の「未来の学びコンソーシアム」での教材情報の中にはCodeMonky、Ichigo Jam(言語はBASIC)などのテキスト言語も紹介されています。
 
タイピングは行わない学校がほとんどだと思われるが、学校の方針によっては実施する可能性も0ではない、という感じでしょう。
学校の方針を注視しておいた方がいいでしょうが、だからといって家庭で先行して習得すべきものとも思えません。プログラミング教室やパソコンメーカーの言葉に踊らされないよう気をつけたいです。
 

誤解その3:プログラミング言語を覚えるのがプログラミング教育

「小学校では、何のプログラミング言語をやるのですか?」という質問もときどき保護者の方から聞かれますが、そもそもプログラミング言語の習得は目的とされていません。

プログラミング教育を通じて、児童がおのずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりすることは考えられうが、それ自体をねらいとはしない。
ー小学校プログラミング教育の手引(第二版)図1

 
あくまで「プログラミング的思考」をやしなうのが目的なので、小学校で何か一つ言語を覚えるということではありません。
 

結局は学校次第・・・

プログラミング教育は「学校」においてはまったく初めての分野ということもあり、かなり混乱が予想されます。学校によって準備できる教材も変わるでしょうし、学校でどんなことが行われるかは学校次第、先生次第ということになります。
 
そこまで難しいことを要求されるわけではありませんが、私が一番心配しているのは、子供が「プログラミングはつまらない」という結論を出してしまわないかということ。
「楽しい」を第一にした授業が行われることを祈るばかりです。

伴野悠佳 / YUKA TOMONO
この記事の著者伴野悠佳 / YUKA TOMONO
教育ヲタクの1児の母。自称ニコニコキッズクリエーター。東京理科大学大学院卒。元SE。小学生の頃から教育書を読んでいた教育ヲタク。大学では、電池の素材の性質について実験とコンピューターシミュレーションを比較する研究を行っていたことがきっかけでSEになる。出産&育休後、子ども向けプログラミング教室講師、子どもたちの考える力を育てるオンライン塾の講師。