プログラミングに慣れてきて自信もついてくると、自分の作品をScratchのサイトで公開したい!という気持ちも出てくると思います。さて、その時に気をつけたいのが「著作権」。
その作品、公開して本当に大丈夫ですか?子どもご一緒に「著作権」を一緒に考えてみましょう。
以下の記事でも著作権について触れましたが、今回はもう少し詳しく解説したいと思います。
プログラミング初心者のためのScratch(スクラッチ)入門-基礎の基礎編(6)リミックスのこと
1. 著作権って何?
1. 著作権って何?
最初に「著作権」とはいったいどういう権利なのかを確認しておきましょう。
1-1. 著作権って何?
例えば、私がヘタクソな絵を描いたとしましょう。
この場合、この絵の作者である私が「著作者」、この絵を「著作物」といいます。そして、私はこの絵に対して著作権を持っている状態です。このヘタクソな絵を使いたい人は、私に対して許可を取る、利用料を払うなどすることで、著作物を使うことができます。
著作者の著作物を守る権利のことを「著作権」といいます。
アニメのキャラ、本、絵本の絵、映画、文章、写真、映画、彫刻、建築、音楽などなど・・・そしてコンピューターのプログラムにも著作権は発生します。ですから、勝手にアニメのキャラをScratchで使って公開するのはダメ!アニメキャラを作った人の著作権を侵害しています。
1-2. Scratchの著作権はどうなってる?
さて、「コンピューターのプログラムにも著作権は発生する」と知って「じゃあ、このサイトは著作権を侵害してるんじゃないの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。このサイトでは、Scratchのキャラクターを使用したり、他の方のプログラムをバックパックしたりして使っていますからね。
また、リミックスやバックパックしたことがある人は「あれ?それは著作権を侵害しているの?」と心配になった方もいるかもしれません。でも大丈夫安心してください。
Scratchでは
・Scratch作品のリミックス(他人の作品の改変)
・プログラムのバックパック(他人のプログラムを自分のプログラムで使用)
・Scratchで記事を書くこと
は著作権の侵害になりません。
なぜならScratchで作品を公開した場合、「クリエイティブコモンズ表示-継承2.0 一般(CC BY-SA 2.0)に同意している」ということになっているからです。
3.6 Commercial use of Scratch, user-generated content, and support materials is permitted under the Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.0 license.
(Creative Commons Attribution-ShareAlike 2.0ライセンスの下でスクラッチ、ユーザー生成コンテンツ、およびサポート資料の商用利用が認められています。)
Scratch利用規約より引用
このCreative Commons Attribution-ShareAlike 2.0(クリエイティブコモンズ表示-継承2.0 一般)はどういう内容かというと
Share — copy and redistribute the material in any medium or format
Adapt — remix, transform, and build upon the material for any purpose, even commercially.
(共有 — どのようなメディアやフォーマットでも資料を複製したり、再配布できます。
改変 — 資料をリミックスしたり、改変したり、別の作品のベースにしたりできます。営利目的も含め、どのような目的でも。)
Creative Commonsホームページより引用
まとめると、作者が作品をScratchのサイトに公開した時点で、作品(プログラム)の作者は「自分の作品を共有したり、改変してもOKだよ」ということに同意しているということです。
ですから、Scrathサイト内の作品を使って記事を描いたり、プログラムを使わせてもらうのはOK。ただし、マナーとして誰が作った作品を元にしているのか、しっかり明記しましょう。作者に対して敬意を払うのを忘れないでくださいね。
1-3. フリー素材・再配布って何?
「なんだー、じゃあScratchってなんでもやっていいのね!」と安心するのはまだ早いですよ。
フリー素材のことについてもしっかり理解をしておきましょう。
「フリー素材」というのは、インターネット上で公開されている写真や画像や音楽のことです。「フリー」だから何してもOK!という訳ではありませんので注意が必要です。
フリー素材であっても作品やサイトごとにいろいろ制限があります。例えば、
・再配布はダメ
・改変はダメ
・商用(ビジネス、お仕事での利用)はダメ
・著作権を放棄しているわけではない
などです。多くのフリー素材の作者が再配布を禁止しているので作者に確認する必要があります。
Scratchの作品作りにフリー素材を使うのは大丈夫かというと・・・・実はNGなケースがほとんど。Scratchのリミックスは再配布に相当するので、フリー素材であっても使用することができません。
(再配布OKの素材を使う、プログラムを公開しない、という場合には問題ありません。)
2. どんな素材なら使えるか?
いろいろ制限のあるフリー素材ですが、実は自由に使えるものもあります。
2-1. パブリックドメイン
著作権には、実は期限があります。国にもよりますが、日本では著作者の死後50年で著作権が切れます。(アメリカ、ヨーロッパなどでは死後70年。死後100年までという国もあります。)
著作権が切れた著作物を「パブリックドメイン」といい、基本的にはだれでも自由に著作物を使っていいことになっています。
古い映画のDVDが格安で販売されていたりするのは、パブリックドメインだから。また、クラッシックのコンサートで「没後100年記念」と銘打って有名作曲家のコンサートを行うのは、著作権料を支払わずにコンサートができるからなんです。
(演奏会って実は、演奏する方たちは作曲家に使用料を払って演奏しているんですよ。)
ですから、Scratchでもパブリックドメインを使用するのはOK。
例えば、パブリックドメインを使って「名画」を見るプログラムを作る。「昔の映画」をアニメで再現。「クラッシック音楽」をScratchで演奏するということが可能です。
2-2. 自分でアニメキャラを描くのは?
さて、次は子供達がよくやりたがる「好きなアニメキャラを動かしたい」という件について。もちろん、ネット上の漫画やアニメの素材を使った作品を公開するのはNGです。
じゃあ、自分でアニメキャラを描くのはどうなんでしょう?はい。実はNGです。コミケとかで同人誌などたくさん販売されていますが実はあれは著作権侵害の宝庫。本当はNGです。しかし、作品を支えてくれているファンが善意でつくる同人誌は禁止にはできないですよね。法律的にはNGだけど、黙認されているというのが現状だと思います。
ですから、Scratchのサイトにアニメのキャラやゲームのキャラを自分で描いてアップするのは本当はNGなんです。有名ゲームの模倣作品とかもたくさん公開されていますが、本当はそれもNG。ですが、教育の領域なので企業側が黙認しているのかもしれません。
そういう作品を作った子どもたちに対しては、
「これは、自分のパソコンだけで遊んでね。Scratchのサイトに公開したり、他の人にあげたりしてはダメだよ。」と伝えています。
自作アニメキャラやゲームの模倣作品を公開するのは、各家庭でしっかり親子で話し合い、ルールを決めておきましょう。もし、公開してもOKとする場合にはどんなリスクがあるのか?そのリスクを保護者が負えるのか?しっかり考えてみてくださいね。
2-3. Scratchサイトで素材を探そう
さて、そんなわけで著作権のことを考えると、ちょっとビビってしまいますよね。でも、それでも安心して使える素材はあります。
Scratchのサイトで素材配布用として公開されているもの、に関しては自由に使ってOK。
▼「フリー素材」で検索した結果
https://scratch.mit.edu/search/projects?q=%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E7%B4%A0%E6%9D%90
使用する場合は、作者の方が定めるルールを読んでから使いましょう。
実際に使う場合には、作者の方にお礼を伝えたり、自分の作品に作者のことを明記したり、と作ってくれた方への感謝の気持ちを忘れずに。絵を作るのって時間と労力がかかっているんです。
3. まとめ
Scratchで自分の思い通りの作品を作れると楽しいですよね。でも、使用する素材の使い方を間違えると他の人を悲しませたりしてしまうことも。。。。著作権、クリエイティブコモンズといったことについても、しっかり理解して楽しく、安全にScrathを使ってください。
Scratchのマナーまとめ
・Scratchのサイトで作品を公開するということは、「リミックスOK!どんどん使ってね!」ということ。
・Scratchのリミックス=再配布に相当する。
・再配布NGの素材を使った作品を公開するのはNG
・他の人の素材を使う場合は、作者を明記しましょう。作者への敬意を忘れずに。
・アニメキャラを自分で描くのはグレーゾーン。リスクも把握した上で家庭でルールを決めましょう。
誰もがいろいろなことを発信できる時代。これらのことを子どもの頃から理解しておくことはとても大事です。親子でぜひ考えたりしてみてくださいね。