今日も算数ネタで書いてまいります。
今日は「割り算」について。実は割り算って2種類あるのを知っていますか?
1. 割り算の絵を子どもに描かせてみると
「12÷4を絵で書いてみよう」という課題を子どもたちに出したとします。
小学校で割り算を習った子どもたちの多くは、次のように描きます。
↑これは普通ですよね。正解です。
ところが、まだ割り算を習っていない子、割り算を習った子の一部は、次のように描くことがあります。
これは間違いでしょうか・・・・? 実は、これも正解です。
2. 二種類の割り算
学校で教えるのはこちらの割り算だと思います。先ほどの例でいうと「12個のりんごを4人で同じ数づつ分ける(=等分する)と1人何個ですか?」という問題になります。等分する割り算なので、この割り算のことを「等分除(とうぶんじょ)」と言います。
もう一つ、学校で教わらない割り算です。これは「12個のりんごを4個づつ配ると何人に配れますか?」という問題になります。言い換えると「12個りんごの中にりんご4個セットは何セット含まれますか?」とも言えますね。含まれる数を知るための割り算なので「包含除(ほうがんじょ)」と言います。
先ほど、「割り算を習っていない子」は包含除の絵を描くといいました。つまり、子どもの感覚としては、「12から4が何回、引き算できるか?」という包含除の感覚の方が自然なのです。「等分除の感覚がないのに、等分除を教えるので子どもが混乱して割り算が苦手になってしまうのだ」という説もあります。(科学的根拠の有無は不明ですが。)
3. 包含除と分数の割り算
では、この「包含除」がどんな時に役にたつかというと・・・「分数の割り算」です。
こんな問題を考えてみましょう。
この問題の答えを出すには、次のような分数の割り算を行います。
つまり、2の中に3分の2は、何個含まれますか?という「包含除」の問題です。
▼viscuitで絵を書いてみました。
これぐらいの問題だったら、3分の2がいくつあるかは、上のように絵を書いて数えればわかりますね。
あえて、逆数をかけることの意味を説明するとこんな感じになります。
まず3をかけると、「ホットドッグ3分の1個」がいくつか?がわかります。
「ホットドッグ3分の1個」は「6」あります。そして、最後の「割る2」は、「その6の中に2がいくつ含まれているか?」という包含除になります。
「6」の中には、2が3つ含まれているので答えは「3」になります。
3. 割り算は2種類あるって知っていますか? まとめ
今回はあまり知られていない割り算「「包含除(ほうがんじょ)」」について解説しました。
納得しないと先に進めない子にとって、理由の説明もなく「分数の割り算は、逆数をかける」と言われると困ってしまいます。そんな時には「包含除(ほうがんじょ)」を教えてあげてくださいね。
一番いいのは、絵を書いて手を動かすこと。つまづいたところから、自分の頭で理解できるまで試行錯誤してみること。
すごーく時間がかかりますし、見守る方も忍耐力が必要ですが、これを繰り返すことで算数は伸びます。手っ取り早く、解法を暗記するという勉強ではいつかつまづきますので、焦らずじっくりと見守ってあげてほしいと思います。
なお、分数の割り算の「ダイオウグソクムシ」と「ホットドッグ」は別のものに置き換えてください。食べるのに時間がかかりそうな生き物を考えたら、ダイオウグソクムシしか思いつきませんでしたもので。
ダイオウグソクムシとホットドッグの絵はこちらです
https://develop.viscuit.com/env/view.html?control=play%3A00300014%3A6418%2F1-1%2F021.json%3A
※PCのみ