毎週、水曜日にコワーキングスペースでランチ会を開催させてもらっている、教育ヲタ母です。
コワーキングスペースはいろんな人…職業も、年齢も、人種もバラバラな人が集まるところなので、そこで交わされる会話というのはいろいろな示唆に富んでいます。
今日は、「薬剤師で漫画家」という方がランチ会にお越しくださいましてお薬手帳の話になりました。
1. お薬手帳はいつなぜ生まれたのか
参加者の一人が「お薬手帳って、そもそもなんで必要なの?」という質問を薬剤師漫画家さんに投げかけました。
薬剤師漫画家さんによれば、「東日本大震災の時にパソコンなどが使えなくなり、薬の履歴がわからなくなってしまったことが誕生のきっかけ」になったのだそうです。
だから、パソコンがなくても、電源が失われても、、インターネットに繋げなくなっても」薬の服薬履歴が分かるように、お薬手帳は「紙」なのだそうです。
2. お薬手帳のアプリ化という矛盾
しかし、お薬手帳が普及してくると普段服薬しない人にとっては、無駄な存在に。
そこでお薬手帳を忘れずに持ち歩けるように…ということでお薬手帳のアプリが誕生するわけですが…
はい。みなさんお気づきの通り「パソコンがなくても、電源がなくても、インターネットに繋げなくなっても」という一番最初のお薬手帳の目的がここで失われてしまうわけです。
さらに、ここで別の方がこんな話をしてくれました。
「家族が倒れて、お薬手帳が役に立ったことがある。アプリ化してしまったら、いざという時に本人の携帯のロックを解除しないとお薬手帳がひらけないんじゃないの?」と。
3. プログラミング力より大事なこと
この話で気が付いたことがあります。
それはプログラミング力より大事なことがあると。
「お薬手帳というアプリをつくれるプログラマー」というのは、おそらく日本中にたくさんいるでしょう。
プログラミング教育ではそういう力を育てようとしていると思います。
でも、本当に考えなければいけないのは「お薬手帳のアプリ化、意味がある?」ということです。
・そもそもなぜお薬手帳は「紙」なのか?
・いつ、どんな時にお薬手帳は使われるのか?
・アプリにしたときに、どんな問題が起きるのか?
こういうことを考えられる力が、私は重要だと思うのです。
プログラミング教育は、うまくやれば、「それ、アプリにするの意味がある?」ということを考える機会を提供できるよい教育だと思っています。
その一方で「なんでも、プログラミングで解決できるんだ」という結論を押し付けるような、プログラミング教育には大いに問題があると思います。
「プログラミング教室」というビジネスをやりだすと、そういう結論ありきの教育になってしまいがちです。(ここが、大いに悩む部分です。)
プログラミングでアプリやシステム化をすることが、本当に解決につながるのか?
そういったことを「全体」で考えられる子どもたちを、私は育てていきたいと思っています。
そのための考え方、物の見方(=メタ認知力)をどうしたら子どもたちに身につけてもらえるかについて、今後も書いていきたいと思います。